種田山頭火は、戦前日本の俳人で、自由律俳句のもっとも著名な俳人の一人です。

「分け入つても分け入つても青い山」は、教科書にも載っており、

初めてその句を知ったときには、五・七・五や季語という

俳句の約束事はどうしたのか、ということよりも先に

青々とした風景が

目の前に飛び込んでくるようにその句に魅了されたのを覚えています。



山頭火がこの日奈久にもゆかりのある人物だと知ったのは、それよりも後のことでした。

じいちゃんがよく「種田山頭火は、種田山頭火は、」と言うようになり、

私はその句のことをまた思い出しました。



きっと素晴らしい句がたくさんあるのだろうと思って

その後に調べてみたのですが、

その句たちは全て、「美しさ」というより山頭火の「人生」そのものであるとわかりました。

人生は綺麗なものだけではない、

そのひとつひとつが山頭火の目にはさまざまな色に写っていたのでしょう。





しかしそれが美しいのです。







「 窓開けて窓一杯の春 」    種田山頭火







今の季節に相応しく、桃色の桜が目の前に浮かぶようです。

私の好きな句の一つです。






日奈久の織屋に宿泊した際、その日記に

「温泉はよい、本当によい、ここは山もよし海もよし、

出来ることなら滞在したいのだが、

――― いや一生動きたくないのだが、」

と記したものが残っています。




日奈久ではどんな句を詠んだのでしょうか。

山頭火の詠んだ8万4千句に及ぶ俳句の中に

日奈久の色も混ざっているのでしょう。






日奈久温泉 松の湯の一日







日奈久温泉 松の湯    熊本県八代市日奈久中西町380

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